痔核とは

俗に言ういぼ痔です。肛門の少し奥のやわらい部分がうっ血してきて支持組織がゆるんできている状態です。痛みを感じない部分にできる内痔核と痛みを感じる部分にできる外痔核があります。
おもな症状として出血と痔核の脱出があります。

top_13-070216

[症状]
出血、脱出、疼痛が主症状ですが、そのほかに肛門周囲皮膚の病変や残便感などがあり、痔核の病期によってさまざまな症状を呈します。

(1)出血
出血は排便時・努責時に認められ鮮血で、紙に付着する程度から、滴下する、便器に音を立てて噴出するものまであり、数日間の出血が続いた後に強度の貧血を来して受診するものもまれではありません。痔核を構成する血管内圧の上昇が一つの要因なので、長時間の排便や脱出状態の連続は出血の大きな原因です。出血は動静脈の短絡があるため鮮血であり、排便後痔核を還納すると同時に止血するので、暗赤色の出血や直腸内に凝血塊や血性粘液などが認められたときは、さらに口側の他の病変を疑って大腸内視鏡による精査を要します。

(2)脱出
脱出の診断は、その状況について、排便後に用手的還納を必要とするのか自然に還納されるものなのか、または修復不能なのか、歩行や咳嗽だけでも容易に脱出してしまうのか、その状態はいつ頃からなのかなどを問診で明らかにします。問診の内容と肛門鏡による視診が一致しないときには、グリセリン浣腸を行って排便させて十分に観察することもあります。脱出、腫脹して急激に痔核が還納不能になった状態を嵌頓痔核といいます。

(3)疼痛
内痔核が発生する歯状線より口側の直腸粘膜には痛覚神経がないため、通常疼痛はないが、歯状線より外方、肛門上皮に覆われたところは痛覚が鋭敏で、急性の循環障害による浮腫や血栓形成や、炎症を伴うときや、脱出する痔核によって肛門管上皮に裂創(随伴性裂肛)を生じたときなどには疼痛が著しいです。

top_23-070217

内痔核の治療について

痔核の脱出が軽い場合は、日常生活や排便習慣の見直しをして外用薬を併用する保存療法を行います。痔核脱出が強い場合や出血が続いて貧血がひどい場合は、痔核根治術、輪ゴム結紮法、四段階注射療法などの適応となります。

内痔核の治療は、薬物療法を中心とした保存的療法を主体に、症状に応じて痔核硬化療法・輪ゴム結紮療法などの外来処置法、さらに根治手術療法が行われます。硬化療法と輪ゴム結紮法は保存的療法と手術療法の間に位置する治療法といえます。 手術方法は多く、現在わが国では主として結紮切除術が選択されていますが、細部は術者によっていろいろな改良工夫が行われています。

sub204

保存的療法
病期にかかわらず症状を緩解させ、ときには消失させることもできる基本的な治療法といえます。これには坐剤や軟膏、経口薬などによる薬物治療と、いわゆる肛門衛生その他の生活指導があります。患者に痔核の正しい知識と認識を与えることも大切です。痔核の発生、増悪には痔静脈叢のうっ血が一つの大きな要因をされており、排便時の努責は関係が深い、便秘や下痢の習慣を改めるために食事指導を行い、必要に応じて緩下剤などを投与します。また、アルコールの多飲による下痢にも注意します。痔核患者には、残便感があるとの理由で排便時間が長くなるもの(5分以上)が多く、これは出血の大きな誘因にもなっています。残便感は痔核のうっ血や排便に伴う刺激で引き起こされていることを十分認識し、これにこだわらずなるべく2〜3分以内で排便を終了させるよう指導します。
排便後は水や湯で洗浄させ、紙で強くこすったり神経質に清潔にしようとすることは症状を悪化させるものと指導します。坐浴や入浴は疼痛緩和に役立ち、循環を改善させるので、肛門衛生の面からも有用です。炎症症状や出血、疼痛などが認められる時期には適宜軟膏や坐剤を使用します。
一般に軟膏は即効性、坐剤は持続性の効果があるともいわれていますが、坐剤を使用したときにその刺激で便意を訴えるものがあり、患者の使いやすさで決めればよいです。各種の坐剤や軟膏の薬効成分のうち、ステロイドやトリベネシドを含有するものは炎症の強い時期に、ビスマス系のものは出血に対して使用します。使用期間は2週間を一つの目安として効果を見ながら投薬します。
とくに疼痛の強い場合には、非ステロイド性抗炎症薬を使用することもあります。

四段階注射療法(ジオン注)について

内痔核にジオン注を投与して痔核を硬く固定する治療法です。
ほとんどの症例で数日以内に痔核の脱出が改善し、処置後の出血の心配や傷の痛みがほとんどなく日帰り治療が可能です。
但し、外痔核や切れ痔を合併しているとできない場合があります。また処置後翌日には一度診察を受けて頂き、合併症がおこらないか確認するため間隔をおいて少なくとも3ケ月は通院して頂く必要があります。
img02jion-4-m