肺癌の早期診断

胸部レントゲン写真には写らない早期肺癌がある

肺癌は早期診断が大切であることは周知の通りで、肺癌は現在、癌死亡原因の第一位です。
肺癌による年間死亡者は男性が5万人、女性が1万8千人です。肺癌は50歳以上に多く、 70歳台では激増しています。年間発生者は8万4千人に上ります。戦後、喫煙者が増加した事と、その世代が高齢化した事が大きな原因です。

肺癌死亡をなくすため胸部Xpによる検診が行われています。
一方で胸部Xpによる肺癌診断の精度となると、かなり限界があることが判明しつつあります。
進行癌であってもは胸部Xpで検出困難な肺癌がある・・・ことはもっと強調されなければなりません。早期肺癌に限っては、癌の胸部Xpの濃度が極単に薄く、人間の目には判別できません。この場合は胸部Xpの限界といえます。また、正常構造物が肺癌の影と重なって見えなくしてしまう場合があります。胸部大動脈や縦隔、心臓、肝臓や肋骨などです。これらの問題は検診事業としては必ずクリアしなければならないことです。早期肺癌を発見してこそ検診の意義が大きいわけですから肺癌検査のあり方を見直す必要性も検討されています。最近では肺癌検出精度に優れた肺癌CT検診も少しづつひろまり始めています。
CT検診ではX線被曝が増えることが懸念材料です。この問題は現在、大いに研究が進んでいます。当院では現在の機器で可能な限り被ばく線量を減らす工夫をしています。従来のCT検査では胸部Xp100枚分の被ばく線量がありましたが、現在当院では、10枚分まで低減しています。

症例1 は早期肺癌です。手術後にいくら見直しても胸部Xでは肺癌を見いだすことは不可能です。
胸部Xpで指摘困難な肺癌は早期肺癌に限らず、進行癌の場合でもみられます。
症例2 は進行癌です。毎年検診を受けていましたが、異常所見の指摘を受けたことはありませんでした。
今回初めて検診胸部Xpで異常所見を指摘され、CT検査を行ったところ、既に進行癌でした。
CT検査の後で胸部Xpを見直しましたが、異常所見を指摘するのはかなり困難を伴います。

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症例1;
胸部レントゲン写真では 指摘困難な早期肺癌
CTでは容易 に診断可能、手術後10年無再発

3 4 症例2;
気管分岐部から発生した肺癌;大細胞癌、高度肺気腫 毎年検診を受けていましたが、 異常所見の指摘を受けたことがありませんでした。今回初めて検診胸部Xpで異常所見を指摘されCT検査を行ったところ、既に進行癌でした。胸部Xpの異常所見を指摘するのはかなり困難を伴います。

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