第2回テーマ ;健診結果の見方
症状がないのに検査する理由
生活習慣病の多くは初期には自覚症状がなく、症状がでたときにはかなり進行した状態になっています。だから症状のないときに検査をおこないます
- 生活習慣病健診の検査項目
省略
- まず血圧とBMIについて
- 血圧について
家庭血圧が135/85mmHg以上であれば高血圧とみなされます。血圧が高いままにしておくと脳卒中や心筋梗塞・狭心症になる確率が高くなります。160/mmHg以上の人だと1年間に100人中2~6人くらいに発症します。160/mmHg以下だと100人中0.5~1.5人です。
- BMIについて
肥満の指標
{体重(kg)÷身長(m)の2乗}で計算される 。
WHOでは18.5~25未満が標準体重
25~30未満が肥満予備軍
30以上が肥満
米国の生命保険会社の調査によると最も死亡の確率が低いBMIは26~27でした。
- 正常値とは
健常者の99.9%が含まれる範囲。
逆に言えば0.1%のひとは正常でも異常値がでます。
- 赤血球と白血球など
貧血の多くは鉄欠乏性貧血でMCVとMCHが低下します。そういう所見がない
場合には特殊な貧血を疑います。
炎症や感染があるときには白血球が増加しますが、原因のない白血球の増加は詳しい検査が必要です。
血小板はいろいろな薬剤の影響で減少することがあります。また慢性肝炎があるひとでは血小板数が10万をきると肝癌合併の可能性が高くなります。
- 肝機能
よく見られる異常はGOT、GPT、γ-GTPの上昇です。原因はアルコール性肝炎・脂肪肝のことがほとんどです。肝機能異常があったときにGOTがGPTより高値の場合には肝臓の線維化がすすんでいるともいわれています。ALPの高値は胆汁の流れに問題があったとき、LDHはいろいろな疾患で高値を示します。
- 脂質
一番問題となるのはLDLコレステロールで動脈硬化の原因となります。著しい中性脂肪の高値では急性膵炎発症の危険性が高まります。高齢者、男性、喫煙、高血圧、糖尿病、家族に心臓発作をおこした人がいる場合には動脈硬化のリスクが高いのでより厳密に高脂血症をコントロールした方がよいと言われています。
- 糖尿病
空腹時血糖が126以上か随時血糖が200以上。HbA1cが6.5以上のとき糖尿病と診断されます。最初の治療は食事療法・運動療法になります。糖尿病のコントロール不良が長く続くと網膜症、腎症、神経症および閉塞性動脈硬化症を合併します。
- 腎機能
クレアチニンとeGFR(推算GFR)が腎臓の機能をあらわします。eGFRが60未満では慢性腎臓病(CKD)と診断されます。原因は糖尿病や高血圧のことが多いですが有効な治療法がないのが現状です。
- 異常値がでても異常ではない場合
例えば
ALP:胆道系の病気や骨の病気で上昇。成長期の子どもでは骨の新生が盛んなのでかなり高値にでて います。
CEA:癌のときに上昇(腫瘍マーカー)。
正常組織にも含まれるので肺炎やタバコ肺など 正常組織がたくさん傷害されるときにも 上昇します。
AFP:肝臓癌の腫瘍マーカー。
正常胎児でも産生されるので妊娠すると上昇し出産前にピークに達します。出産後に速やかに 正常値に戻ります。
- 通常の健診でひっかからない病気
胸部レントゲンではわからない影もあります。